国内VC初のPRI署名ファンド
2020年11月、当社は責任投資原則(PRI)に賛同し署名いたしました。
責任投資原則(PRI)は、2006年4月に当時のコフィー・アナン国連事務総長により提唱された6つの原則です。
環境(E:Environmental)、社会(S:Social)、企業統治(G:Corporate Governance)にわたる諸々の課題を適切に配慮する枠組みの提供を目的としたもので、機関投資家がこれらの原則を適用することで、より広範な社会の目的を達成できるであろうとされています。
- 私たちは投資分析と意思決定のプロセスにESGの課題を組み込みます。
- 私たちは活動的な(株式)所有者になり、(株式の)所有方針と(株式の)所有慣習にESG問題を組み入れます。
- 私たちは、投資対象の主体に対してESGの課題について適切な開示を求めます。
- 私たちは、資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行います。
- 私たちは、本原則を実行する際の効果を高めるために、協働します。
- 私たちは、本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します。
PRI に署名している世界各国の機関投資家は、各社の責任投資の取り組み状況について、毎年所定の様式でPRI に報告することを求められています。
責任ある投資家としての考え方と行動方針
1.はじめに
当社は、未上場企業に対する株式投資などを通じて、LP投資家の皆様から委託された資金の投資収益を最大化することを目的に行動しています。 この時、運用会社としての受託者責任を果たすために行う当社の行動は、投資先企業やその先にある社会・経済全体の持続的発展にも同時に寄与するものであることが望まれ、 これらを両立し、結果として委託された資金の投資収益を「最適化」するインベストメントチェーンの一端を担うことが、 ベンチャーキャピタルファンド投資家である当社にとっても責務であると認識しています。
ここに定める「責任ある投資家としての考え方と行動方針」は、投資家として果たすべき社会的責任に対する当社の考え方と具体的な行動方針です。
2.ベンチャーキャピタルである当社に求められる責務
将来的に社会の公器とならん企業の株主として、投資先企業の価値向上や持続的成長に資する責務
当社に資金を委託しているLP投資家の多くは、当ファンドへの投資家であると同時に、投資先企業との間で別の係わりを持つステークホルダーでもありると考えます。 したがって、当社が受託者責任を果たすために投資収益を「最適化」しようとする行動は、同時に投資先企業の価値向上や持続的成長を促し、 ひいては社会・経済全体の持続的発展に繋がるものであることが望まれます。
ベンチャーキャピタルファンドである当社は、投資収益の多寡のみならず、投資収益の源泉である企業の付加価値創造およびその分配のプロセスに強い関心を持ち「最適化」をデザインする責務があると考えます。
3.投資先企業に対する期待像
当社は責任ある投資家として、投資先企業に対して、資本市場を通じて得た資本を最大限有効に活用しながら企業価値向上と持続的成長を追求し、株主利益の尊重とともに社会・経済全体の健全な発展に貢献することを求めます。
したがって当社は、投資先企業において下記項目が経営目標として掲げられ、その実現に向けてコーポレートガバナンスを形成する様々な要素や枠組みが有効に機能していることを求めます。
- 一、社会の需要に応え、付加価値を創造し、長期的に利益を生み出すこと
- 一、適切な雇用・資本政策を採用し、創造した付加価値を適切に配分すること
- 一、公正で正確、かつ迅速な情報開示により、投資家の予見可能性を高めること
- 一、社会の一員として倫理的に行動し、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に対する社会的責任に貢献的であること
4.当社の取り組み
(1)優良な投資先の発掘・投資実行・成長支援
当社の投資哲学は、『将来的に成長する市場に対し、強いビジョンを掲げた優秀な経営者・経営チームがアプローチし続けていれば必ず成功する』という考え方です。
将来的に成長する市場は、すなわち長期的に解決しなければならない社会課題そのものです。さらに、優良な投資先に対して、必要なタイミングに合わせた個別の成長支援を実施することが重要です。
当社は、投資テーマとして掲げた社会課題解決のため、テーマに焦点をを当てた投資を実施します。
その結果として、このテーマ領域に対する経営資源の呼び水となり、課題解決を促進することに繋がることをベンチャーキャピタルファンドとしての当社の社会的使命と考え、事業展開を行って参ります。
投資先企業の価値向上や持続的成長に関心を払いながら、財務情報のみならず非財務情報(ESG情報など)についても的確に把握することが求められます。 また、適切な投資価値を導き出すためには、企業の業績動向の把握と予測にとどまらず、その企業が抱える潜在的なリスクを的確に把握し、評価することが求められます。
このような財務情報と非財務情報が統合された価値判断は、企業の経営判断基準との同期を可能とし、運用の実践そのものがコーポレートガバナンスとしての機能を持ち得ます。 このような財務情報と非財務情報が統合された価値判断を通じた投資活動は、ベンチャーキャピタルファンドによる投資にESGの文脈を組み込む先行事例としての機能の一翼を担うものです。
当社は投資家の責務として、競争原理のもとでの企業家の創意工夫を引き出し、持続的成長へのインセンティブとなるような優良な投資発掘・投資実行・成長支援活動を通じて、顧客・受益者・投資先に対する中長期的なリターンの拡大を図るとともに、社会・経済全体の持続的発展と資本市場の機能向上に貢献します。
(2)投資先企業との対話(エンゲージメント)
当社は、責任ある投資家の立場を自覚したベンチャーキャピタルファンドとして、優良な投資発掘・投資実行・成長支援活動を通じて、当社キャピタリストおよびメンバーが投資先企業や投資候補企業と日常的に対話を行える関係を構築します。
そのうえで、投資判断基準である中長期の視点から評価した本源的価値を理解することを対話の軸とし、その源泉となる付加価値創造およびその分配のプロセスの把握に努めます。
ベンチャーキャピタルファンドは未上場企業への投資を主体とする分、上場企業への投資よりも強い関係性を構築します。 上場に向けた各ステージにて必要とされる経営資源・ナレッジ・人的ネットワークを必要なタイミングで提供することで、その関係はさらに強化されます。 この未上場企業とベンチャーキャピタルファンドであるがゆえの強い関係を土台として、当社キャピタリストおよびメンバーの知見を活かし、投資先企業や投資候補企業の企業価値の向上と持続的成長に資する建設的な対話を行います。
また、当社は投資先企業が先に掲げた期待像に向かって経営されることを望み、その実現に向けて投資先企業に働きかけを行います。 万一、期待像に反する経営姿勢が見られれば、それら企業に対して改善を求めます。 当社はこの行動の一環として、投資先企業の議決権をここで定める理念に則って行使します。 コーポレートガバナンスを構成する主要な要素である取締役・監査役(会)、報酬制度、内部統制システム、コンプライアンス、投資家リレーション等が、期待される役割や機能を適切に果たしているかを吟味し、議案の賛否を判断します。
(3)責任投資の普及に向けた積極的取り組み
当社は、これまで述べてきた当社の責任ある投資家としての考え方が社会全体に幅広く共有され、より大きな成果に繋がることを望みます。
その実現のため、当社はまず自らが責任ある投資家として相応しい運用体制や運用プロセスを適切に備え、ここで定める行動方針をより高い次元で実践できる実力の向上に努めます。
これからも、顧客・受益者・投資先の期待に応える優良な投資先の発掘・投資実行・成長支援に積極的に取り組むことを通じて、ベンチャーキャピタルファンドとしての当社の社会的責務を果たし、顧客・受益者・投資先の中長期的な価値向上に貢献し、投資家より委託された資金の投資収益を「最適化」に貢献してまいります。